02/26: 入院の話
病院に入院していると、いろいろと経験することがあります。
うたさんとの出会いもそんなひとつの思い出です。うたさんは本名は別にあるのですが、歌と踊りが大好きなので、
うたさんの名称で看護師さんたちにも他の患者さんたちにも知られているおばあさんです。もう80歳を超えていて、
車椅子に乗っているのですが、いつも元気に病棟の廊下を動き回ります。そして、夜になると、よく歌声が聞こえてきます。
曲名は私の知る限りですが、「信濃の国(長野県の県歌のようなものです)」や「荒城の月」、おそらく戦時中の歌をはじめ、
さまざまです。うたさんのいる病室はおばあちゃんばかりの部屋なので、さらに声が加わってコーラスになります。
ある満月の見える夜には近くの病室のおばさんやおねえさんたちも入ってちょっとした音楽会になりました。
うたさんの声はすごいおばあちゃんの声なのですが、とても元気で、遠くの部屋から声を聞く私でも元気がでてきてしまいます。
もうひとつは、たまちゃんの話です。
たまちゃんは人工関節の手術をして入院しているおばさんなのですが、本人曰く、糖尿病、膠原病、
高血圧ほかもう病気のオンパレードです。いろんな科での治療や入院を経験しているだけでなく、
整形外科でも高圧酸素治療をはじめとして、様々な治療を経験している患者さんです。たまちゃんは明るい性格で、話好きなので、
他の多くの患者さんたちに知られ、良き相談役となっています。たまちゃんは、本人も言っているのですが、とにかく食べます。
病院食に加え、いつもケーキや甘いものを用意していて食べてます。冷蔵庫にもたまちゃんスペースが存在し、売店でも有名です。
このため、たまちゃんはすごく肥満なのですが、まったくそれを気にすることなく本人はすごく明るく話好きです。
この前も病院食の後、病院のレストランのチャーハンやラーメンを食べたみたいで、看護師さんに怒られてました。さて、
たまちゃんはさらにヘビースモーカーなのです。いつもこっそり煙草を忍ばせては1Fの喫煙スペースに行くみたいで、よく
喫煙スペースの話を病室の人たちにしてくれます。夜中の総合病院の喫煙スペースは、患者さんたちによるアナザーワールドで、
人間ドックで短期入院したおじさんから、末期ガンの患者さんまで、すぱすぱタバコを吸いながら、いろいろな話をしているそうです。
自分の生き方とか、死ぬ場所の相談とか、そばのレントゲンスペースでは、放射能のマークを見て、
「これでアメリカと戦争を...」 なんていうおじいちゃんもいたりする空間がそこにはあります。
そんな総合病院の夜のホスピスとなっている喫煙スペースには、 医師の先生も止めるに止められないところもあるみたいです。
そんなたまちゃんもついに先日退院となりました。 早く元気になるといいなあ。